2007/01/24

在韓日本人必携本

留学とかとは違って韓国駐在の身だと、接する韓国人もある程度常識的・理性的であって、そんなに日常会話やら酒の席で日韓関係についてトラブル発生!ということにはなりにくいのですが、日本を知っている韓国人ほど「日本人を教育してやりたい」という気持ちをもっているという傾向があるんじゃないかと、私は実感を持ってそのように思っているのです。これは付き合う相手としては厄介です。むしろ日本を知らない人の方が大人の付き合いをしやすい面があります。

「日本語に○○ってあるでしょ?あれは韓国語の△△が語源なんだよ。」とか、「日本の歴史上の人物である□□の先祖は朝鮮半島からきたんだよ。」とか、そんな話は流暢な日本語で山ほど聞かされました(が全部忘れました。)。王仁博士の話とか、日本の地名は韓国語が由来とか、万葉集は韓国語で読めるとかそんな話です。

相手がなぜか日本に好感を持っているため、こちらとしても反論は最低限にとどめているつもりではありますが、それでも明らかにおかしい話をされる場合も多いのです。しかも困ったことに、日本人の中にも、特に高齢者に多いのですが、そういう話が大好きな人がいて、さながら「日鮮同祖論」が現代に蘇ったのかと錯覚するくらい日本と半島との結びつきを協調して韓国人にすり寄る物知り顔した自称韓国通のオヤジが、結構はびこっているわけです。

ということで、こういう歴史の話題が出たらこう切り返す、という対策を自分で立てられるということは、韓国で日本人としての最低限の矜持を維持していくためには必要なことだと、私は思うのです。でも日韓関係に関する韓国人の曲解は非常に多岐にわたるものであり、どんなにこちらが準備したと言っても、もの凄い搦め手から攻められることも多々あります。またオーソドックスな話題でも、衰える脳細胞に常に知識を臨戦態勢でため込んでおくことは結構負担が大きいのです。

そんな私、というか私と同じような境遇にいらっしゃる在韓日本人必携の本とも呼べる本をつい先日手に入れることができました。発刊自体は去年の8月だそうですから既にご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、情報が遅い海外での投稿と言うことでお許し下さい。

題名は「韓国・北朝鮮の嘘を見破る―近現代史の争点30」(文春新書、鄭大均・古田 博司 (編) )です。

「なんだそれか」と思われた方も多いかと思いますが、我々在韓日本人にとってはこれほど良くまとまった対韓国人兵器は無いのですよ。元々は雑誌での特集記事だったものを本にしたものらしいですが、硬軟取り混ぜた話題をコンパクトにまとめています。本当に使えます。争点ごとに筆者が違うのですが、その争点をさらに深く勉強したい人のための参考書籍の紹介を「読書案内」という形で執筆者自身がしているというのが秀逸。

争点ですが、最初のいくつかを列挙するだけでも
・「韓国のナショナリズムは健全だ」と言われたら
・「天皇を日王と呼んで何が悪い」と言われたら
・「植民地時代は収奪・搾取の時代であった」と言われたら
・「韓国内の親日派は国賊である」と言われたら
・「日韓併合は無効だ」と言われたら
・「創氏改名で民族名を奪われた」と言われたら
とまぁ、いずれも骨太かつ韓国人の洗脳が行き届いたテーマが満載なわけです。これが争点ごと新書版で大体10ページ以下でまとめられているのですから、買わない手はありません。語り口も難しいことは一切無く、非常に分かりやすいものになっています。

一人が書いた本ではなく、それぞれが得意な分野を書いているというのが逆に専門性を際だたせる形になっていて良いです。

最近は日本の本を韓国語に翻訳されたものがだいぶ出版されるようになりましたが、この際この本も是非!と、言うだけ言っておきます(笑)。でも日本人の考えてることが分かって良いと思うんだけどなぁ。

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2006/01/17

「半島を出よ」を読む。

昨年結構売れたという村上龍氏の「半島を出よ」(上下巻)を読みました。読むのには週末を利用してほぼ2.5日くらいかかりました。半島=朝鮮半島と言うことで、いつかは読むんだろうなぁと思っていたところで、家では「積ん読」状態だったのですが、ついに、というか何となく読み始めたというところです。

村上龍氏のコラムやら番組やらエッセイは結構好きで、テレビだとそれこそTBSの「RYU’S BAR」(古!)の頃から見ていたのですが、小説の方はまだ中田英寿をモチーフにしたものしか読んだことが無く、しかも読後感として軽い失望を覚えていたので(結末も酷かったし。)、ちょっと避けていたところがあったのです。しかし、今回は当方在住の半島ネタらしいということで重い腰が上がったという次第。

ストーリー展開は各種サイトにお任せするとして、感想のみ。

まぁ、なんというか、よく色々な分野について勉強しましたね、ということくらいかも。

いや、とにかく武器とか生物とかそんなもののディテールに関する記述が延々と続く箇所がいくつかあり、それはそれで勉強の成果をよく表しているんですが、そういう個人的な勉強の成果はさらっと書いて、なおかつ何でも知っているかのような表現にまとめるのが小説家の仕事じゃないの?と思い始めた途端に、そういう箇所に没頭するのは止めてしまったんです。

しかも本自体、あと数センチの厚さしか無い、しかし話はまだまとまる気配なし、という場面でそういうのをやられるものだから、「これはあっさりとした最後かも。」というのが簡単に予想できてしまうんですよね。

全体のコンセプトかなぁ、と思えるのはこの世の政府とか社会とか言ったある種の権威に対する根本的な疑問みたいなもので、それはそれで納得するし、実際のところ、北朝鮮の反乱兵が九州に上陸して独立宣言などと言うかなり想定外の事態になった時に政府が適切に対応できるかどうかについては甚だ疑問があるわけで、そういう所を衝けたのは素直に素晴らしいと思うわけです。

しかし、それに関する記述も例えば同じような話題を取り扱った麻生幾氏の「宣戦布告」に比べると、攻め方が甘いような気もします。こういう話題では政府や警察や自衛隊の動きを簡単に扱って日本人の姿を描けるとは到底思えません。

両者の比較と言うことに限定して決定的なのは読後感。「宣戦布告」は正直なところ得も言われない「嫌な感じ」が残ったんです。要するにあからさまに日本という社会装置の欠陥を指摘され、しかも自分では如何ともしがたいというある種の無力感でしょうか。でも、「半島を出よ」の方はさっきのディテールの話もあり、「これで終わり?」というストーリー展開もあり、自分の中に何も意味のある物が残らなかったんです。上下間で800ページくらいあるのかな?その分量を読み切った、という最低限の満足感しか残りませんでした。ちょっと残念。


ところでタイトルは「半島を出よ」でしたが、韓国は殆ど話題になってませんでしたね。名前のある登場人物も確かゼロ。政権によって中国の添え物になるかアメリカのそれになるか、結局その程度の存在としてか認識されてないってことなんですね。哀しい性。。。

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2005/02/16

ソウルに刻まれた日本

ソウルに刻まれた日本」(鄭雲鉉著・武井一訳)という本を最近読みました。

内容としては、ソウルには日韓併合時代に建造された建築物、創設された地名がたくさん残っており、その痕跡を解説するといったような内容の本で、ソウルに在住する者としてはそのタイトルと趣旨に惹かれずにはいられないわけでして、早速読んでみました。といっても99年発行の本なんですけどね(汗)。

御存知の方も多いかも知れませんが、ソウル市内には、併合時代の建物が結構残っており、しかも結構現役で頑張っております。ソウル駅(旧京城駅)、ソウル市役所(旧京城府庁)、新世界百貨店本店(旧三越京城支店)等々。ちなみに最近、日韓基本条約の締結交渉時の文書が韓国で公開され国内に大きな波紋が広がり、その中で個人補償の請求権が消滅した、なんてことが改めてわかって特に大騒ぎになったのですが、その時点で日本側もこうした施設の所有権を主張できなくなったわけです(という解釈で良いのかな?)。もっとも、まじめにお互い請求すべき金額を積み上げて比較すると日本の方が圧倒的に黒字になっちゃうらしいですけどね(笑)。

さて、肝心の中身ですが、なんというんでしょう、事実に関する記述とそれに対する評価、作者の思いが乱雑に交錯するように書かれていて、要するにエッセー風なんです。都市計画的、建築学的側面からの学術的な入門書のようなものを期待したのですが、そういう意味では期待はずれ。ソウルにはこんなに「日本帝国の残滓が残っている!!民族の恥だ!!」というトーンで終始一貫しておりました。資料収集、歴史的な経緯の分析は相当しっかりとされている印象でしたが、いかんせん解釈にそういった味付けがなされているものですから、読んでいて不快なことこの上ないのです。というか、語られる歴史的な事実が、少々日韓の歴史をかじった人間ならとんでもない誤解、曲解であるとすぐにわかるようなことばかりがこれでもかと羅列されていて、そういう意味でも疲れてしまうのです。一部ネット上の書評でわりと好意的(この手の本にしては記述が客観的だ、みたいな。)に書かれているものもありましたが、というかそれを信じて読んでみたのですが、全くもって韓国人の従来の一般的とされる価値観・歴史観に基づいた書きぶりでした。

いや、韓国人の考え方がわかって良いじゃない、という意見もありうるのですが、私としては最初からそういう「自虐系」の本を読むという覚悟もやる気も無いわけで、そういう意味ではいわば「不意打ち」の本なわけです。

作者のチョン氏は1959年生まれ、すなわち反日教育バリバリの世代です。さぞかしまじめに学校で勉強されたのでしょう。「反日」をベースにした正義感に満ちあふれています。また冒頭部分、この本と同じような趣旨の本が日本人のにより刊行されているのを知った、しかしこうした主題の本は本来韓国人によって書かれなければならないと思ったから書いたという何とも幼稚な執筆の動機を披露しているわけですが、こういう姿勢は韓国でウケるんでしょうか?いまだによくわかりません。

作者は更に、30歳を過ぎるまでソウル市庁の建物の来歴を全く知らなかったとか平気で書いているわけですが、そういった事実に対する批判の矛先が韓国の教育の歪みに向けられることはなく、ひたすら日本批判なわけです。日本の戦後教育も色々と問題はあると思いますが、それ以上に韓国の戦後教育も負けず劣らず偏ってるよな、というか日本がないと成立しないんだよなと改めて思った次第です。


ま、もっとも最初から翻訳されることを念頭には置いて書かれていないので(予想)、外国人である私が何を騒いでも意味がないんでしょうけどね。

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2005/01/17

週刊ブックレビュー

これって、当然敗戦国側での出席なんですよね?(笑)

昨日NHKBSの週刊ブックレビューを見ました。
その中で作家の早乙女貢氏が大野芳著「伊藤博文暗殺事件―闇に葬られた真犯人」という本を紹介されていました。実はこの本、自分も日本で買ってこちらに持ってきていたのですが、「積ん読」状態で手を付けていなかったのですが、昨日の番組を見たのをきっかけに読み始めてみました。まだ2章くらいまでしか読んでいませんが、冒頭から
・伊藤博文の遺体を検証すると上から下に向けて銃弾が貫通しているが、狙撃犯とされる安重根のいた位置からは下から上にしか撃つことができない
・安の持っていた銃はアメリカ製の拳銃だが、狙撃に使われた銃弾はフランス製のライフル銃
・当初から捜査関係者の間では安重根犯人説を疑う者が多かった
とまぁ、衝撃の事実が次々と。読み進めるのが楽しみです。

日本人にとって安重根は単なるテロリストですが、韓国人にとっては李舜臣と並ぶ「不滅の」(笑)国家的英雄です。
出版当時この本が韓国でどのような反響があったのかは知りませんが、韓国側の民族史観を排除した冷静な反論を見てみたいですね。ま、そうは言ってもソウル市にある安重根記念館が殺人未遂者の記念館になるようなことはないんでしょうねぇ。


それから、番組の最後に本の売り上げランキングのコーナーがあったのですが、今回はアマゾンでの去年1年間に売れた辞書・事典のランキング。そこでなんと小学館の朝鮮語辞典が第4位!
確かにこの辞書は使いやすいです。語彙量が豊富、日本での印刷と思われ物理的に開きやすい(壊れやすいらしいですが。)、という基本的なポイントを押さえてあるのですが、なんと言っても日本人が編集していて内容的に非常にわかりやすいというのがあります。基本的な単語は大きく印刷してあったり、付録の文法編とか、漢字とハングルの対応表とか、韓国人の姓のハングル読み一覧表とか、とにかくかゆいところに手が届く編集になっています。価格は異常に高いですがおすすめです。
でもいくら韓国ブームとはいえ、こういうところにも影響が現れているとは本当に驚きですね(去年のランキングは知りませんが。)。

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